Fish Book
お魚図鑑
プーケット/シミランで見られる海洋生物
マンタ(ナンヨウマンタ)
■英名/Alfred manta
■科目/トビエイ目-トビエイ科
■地域/全海域
■大きさ/ 2m〜
長い間一種類と考えられてきたマンタですが、2009年に二種類に分けられることになりました。私たちがよく見かけるのは、このナンヨウマンタで、従来呼んでいたオニイトマキエイは、どちらかというとレアです。
この魚については、以前にリーフオニイトマキエイとナンヨウマンタという二つの和名が提唱されたのですが、最終的に一方に決まったということはなくて、世間の広まりぐらいを今後みていくことになっているようです。2013年に出版された日本産魚類検索 全種の同定 第三版ではナンヨウマンタとされているようなので、ここではナンヨウマンタとしています。
さてそのマンタは、ゆったりと泳ぐのが特徴で、ダイバーにもっとも愛されている魚の一つです。たいていの場合は、コバンザメが何匹かくっついています。ダイビング中に移動しているマンタを見ることもありますが、通常はクリーニングステーションと呼ばれるところに潜ってマンタを見ます。単独で見かける場合と、十枚程度の群れをなしている場合があります。ダイバーが追いかけると逃げてしまうので、マンタが来るのを待っていれば近づくことができます。通常、マンタはダイバーの泡を嫌いますが、まれにダイバーの泡を浴びるのを好む個体がいるようです。
もう一つの方法はプランクトンの集まっているところでマンタが捕食しているところを見るというものです。このプランクトンを食べるためにたくさんのマンタが集まってきます。
マンタは背部が灰色、腹部は白色です。上から3番目の写真のように腹側には斑点模様があって、この模様は個体ごとに違うことが知られていて、地域(ヤップなど)によっては個体識別に使われています。中には体色が黒色のものがあります。ダイバーにはブラックマンタと呼ばれています。完全に黒色になっているものと、一部白い部分が残っているものがあるようです。この写真では少し白い部分が残っています。
マンタの繁殖については、沖縄美ら海水族館で成功していて、一般的な魚のような卵生ではなく、母体から子供が生まれてくる胎生です。妊娠期間は1年程度で、生まれてくるときには2m近くになっているそうです。マンタは胎生とはいっても人間のように胎盤で子供を育てるわけではないのですが、子宮の壁にミルクを分泌する器官があって、それで子供が大きくなるのだとか。魚類とは思えないぐらいの進化ぶりですね。